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2006年09月11日

●魂を売る

本日は土岐と恵那のお客様だったので、お昼を瑞浪あたりで食べる事にしました。ちょっと雰囲気の良いうどん屋(蕎麦屋?)を発見したのでそこに入ったんですが、色々な気付きがありました…。

僕はいつもの如くざる蕎麦を注文したのですが、メニューを見ると「石臼を使用し店内で蕎麦粉を作り、蕎麦の香りを逃がさないためその日の分はその日に造り…」と言うような事が書いてあります。うどんの製麺にも何やら薀蓄が書かれております。

これは期待できるかも?と思いつつも、ただその割には、こだわりのうどん屋(蕎麦屋?)の割には、丼物があったり、唐揚げ定食があったりと、どうも解せません。…案の定、実際に運ばれてきたのはどう見ても製麺所の麺…。味も普通…というか、どちらかというと美味しくない。

ここでピンと来ました。こりゃー魂を売ったな…と。


おそらくこのお店も最初はメニューに書かれている通りにやっていたんだと思います。でもそれじゃお客さんが入らなかったんでしょうね。途中から若者受けするように丼物や定食物に手を出してみたり、挙句の果てには効率化と経費削減のために、職人の魂を売ってしまったのでしょう。

自分のお店でこだわって製麺するよりも、製麺された麺を買うという楽さ、そして合理的、経済的な面から負けてしまったんでしょうね。その瞬間にここの店主は職人から商売人になってしまったんだと思います。それが悪いとは言いません。でも、この方法ではおそらくは長く持ちません…特に職人の技を必要とするような事業では。

職人の魂を売ると言う事は、勝負できる土俵を捨てると言う事です。USPを捨てているわけですから、価格勝負になってしまいます。価格勝負では一時的には成長できても長くは維持できません。

職人の誇りを捨てた時点で勝負に負けているんですね。腕は持っていると思うのに、職人の魂を売ってしまい、商売人を目指してしまった事がそもそもの間違いです。例え回転が悪くても、付加価値をつけて高い価格で売ればいいんです。そして、高く売る事が出来るのは職人の技のみ。目指す方向を間違ってしまったんですね。

価格で勝負してしまうと、お客様も価格で選ぶ人しか寄ってきません。そういうお客様は他に安いお店を発見するとそちらに流れてしまいます。継続的に成長するためにはファンの形成、リピーターの育成が欠かせませんが、そのためにはお店の「魂」に共感を持ってもらう必要があります。

その魂を捨ててしまっては将来はありません。決して何事にも屈しないあなたの熱い想いとこだわりが魂に念をこめるのです。魂を売った瞬間にその事業は終わります。魂は絶対に売らないようにしましょう。





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