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2005年08月11日

●ブランディング

今日、通りかかった道でユニクロが一軒潰れていました。(店舗統合?)それで思ったことを少し…。

自社に商品がある場合、大きく分けて二つの販売戦略を取る事が出来ます。

それがユニクロ戦略とヴィトン戦略。

実はユニクロとヴィトンは同じ流通構造を持っています。製品の企画から製造、広告、小売という、一連の流通構造を持っているんです。

製品の企画から製造、広告、小売まで行うと言う事は、自社で在庫を持つと言うリスクが生じます。ただ、情報を一元に収集、分析でき需要予測が立てやすいため過剰在庫を抱える心配は余りありません。万が一、予測が違った場合でも、企画から販売の期間が短いので、追加発注や生産量削減など柔軟な対応が可能です。

一番の強みは中間マージンの排除です。商社、問屋などの流通経路を経由せずに直接販売となるため低価格で販売する事ができます。

でも、売り方は全く異なります。


ユニクロはわかりやすく言うと薄利多売。対してヴィトンは高利少売。(厳密に言うとこれだけではないんですけどね…。)

同じ流通構造を持っていても販売戦略が全く違うわけです。

ユニクロ戦略は最もとりやすい戦略です。でも方向性が変わってきた時に撤退がしにくいという側面があります。今のユニクロを見てもらうとわかると思いますが、一度低価格路線で行ってしまうと値上げがしにくいんですね。値上げをしてもお客様は離れていく一方です。最近はユニクロと同じようなお店が他にもたくさんありますから、価格があがった時には「何もユニクロで買わなくてもいいなー」となるわけです。

つまり、お客様の判断基準が「価格」になってしまっているわけです。

もうひとつの問題はブランディングの問題。ユニクロの場合、いくら高品質だといっても、今までの低価格路線によって安物のブランドイメージが付いてしまっているんですね。ユニクロで高い商品を買っても、他の人から「あっ(安物の)ユニクロを着てる。」と思われたのでは嫌ですよね?(もちろん気に入って着てれば別です。)

つまり、低価格路線で行っている時はブランディングに成功していたのに、路線変更時にはこのブランドイメージが邪魔になるという弊害があります。


対して、ヴィトン戦略はなかなか取りにくい戦略です。これはブランドイメージが確立していないと難しいからです。ただ、これは「ニッチ」とか「希少性」という言葉にも置き換わります。つまり、何か他には無いところがあればヴィトン戦略を取る事も可能です。

単純に考えるとヴィトン戦略を取った方がお店側に都合がいいように見えますが、ブランドイメージを確立すると言う事は大変です。半端じゃない広告戦略も必要になります。ただ、お客様は価格ではなく商品力で判断するようになりますので、リピーターになってもらいやすいという側面はあります。


ユニクロ戦略を取る場合は見える部分で忙しくなります。儲かっていても儲かっていなくても。ヴィトン戦略を取る場合は見えない部分で忙しくなります。高く売るために水面下で動く部分ですね。

当然ケースバイケースですので、どちらの戦略が正しいというものではありません。

安売りばかりが売り上げを上げる方法では無いという事を理解してください。そして、長期的な視野で販売戦略を考えていく事が重要です。





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